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インバウンドのトレンドは「モノ消費」から「探索・決済」へ ― Googleマップとキャッシュレスが握る集客の分岐点

2026-09-30

ノウハウ

インバウンドのトレンドは「モノ消費」から「探索・決済」へ ― Googleマップとキャッシュレスが握る集客の分岐点

円安の一巡やリピーターの増加を背景に、訪日インバウンド市場のトレンドは大きな転換点を迎えています。名所観光や免税品の「爆買い」に代表される画一的な消費行動は影を潜め、いまや旅行者一人ひとりが自分の関心に沿って地域体験や食を深掘りする時代です。

この変化の中で、店舗や地域の集客を左右するのは、商品そのものの魅力以上に「旅行者がどうやって自分たちを見つけ、どう評価し、どう支払いを済ませるか」という一連のデジタル導線です。

観光庁や経済産業省の統計を手がかりに、2026年時点で押さえておきたいインバウンドの最新トレンドを、情報収集チャネルの変化・決済環境・MEO対策の3つの軸から整理します。

インバウンド トレンドの本質的変化:「何を買うか」から「どう探し、どう支払うか」へ

観光庁が2026年に公表した最新のインバウンド消費動向調査によれば、2025年の訪日外国人旅行消費額は9兆4,549億円と過去最高を更新しました。

費目別に見ると宿泊費が36.6%、買物代が27.0%、飲食費が21.9%を占めており、単価の高い宿泊や体験型のサービスへ支出の重心が移りつつあることがうかがえます。

2025年 訪日外国人旅行消費額(9兆4,549億円)と費目別構成比(宿泊費、買物代、飲食費、その他)

爆買いから体験消費へ、インバウンド トレンドが示す消費構造の変化

かつての訪日消費を牽引していた家電や化粧品の大量購入は、円安の定着とリピーター比率の上昇によって相対的に落ち着きを見せています。

一方で、地域固有の食体験や、SNSで見つけた「知る人ぞ知る」スポットへの関心は年々高まっており、消費の重心は「モノ」から「コト」、さらに言えば「そのコトにどうたどり着くか」という体験の入口そのものへとシフトしています。

インバウンド集客の成否を分ける「デジタル導線」の摩擦

商品力や立地に優れていても、旅行者がその店を発見できなければ来店にはつながりません。逆に、発見から評価、決済までの導線に摩擦がなければ、多少の立地の不利は補えます。

次章以降で見るように、この導線は「情報収集」「現地での意思決定」「決済」という3つの局面に分解でき、それぞれで訪日客の行動様式が急速に変化しています。

インバウンド トレンドとしての情報収集チャネル:個人ブログからSNS・動画への構造転換

訪日客の情報収集は、この10年でテキスト中心の検索行動から、アルゴリズムが推薦する短尺動画・SNSフィードの受動的な閲覧へと大きく姿を変えました。

これは単なるツールの入れ替わりではなく、旅行者が「どうやって旅先を知るか」という意思決定の経路そのものが変わったことを意味します。

観光庁データで見る、インバウンド トレンドとしての情報源シフト

観光庁「インバウンド消費動向調査 2025年年次報告書」によれば、出発前に役立った旅行情報源は「SNS」が43.3%でトップとなり、次いで「動画サイト」が39.6%、「個人のブログ」が23.9%という結果でした。

かつて個人の旅行記や体験ブログを読み込んで行程を組み立てるスタイルが主流だった時代からすると、情報の受け取り方そのものが「検索して読む」から「流れてくるものを見る」へと移行したことがはっきり表れています。

出発前に役立った旅行情報源の選択率(SNS 43.3%、動画サイト、ブログ等)

なお、公式チャネルである「日本政府観光局ホームページ」の選択率は12.2%にとどまっており、民間のSNS・動画プラットフォームの存在感がいかに大きいかが読み取れます。

この傾向は国や地域によって濃淡があります。たとえば台湾や香港では動画サイトの選択率がSNSを上回る傾向が見られ、短尺動画で店内の雰囲気や調理の様子を「音付きで」確認できることが、言語の壁を越えた強い動機付けになっていると考えられます。一律のグローバル施策ではなく、主要市場ごとに利用されているプラットフォームへ合わせてコンテンツを最適化する視点が欠かせません。

旅マエはストック型、旅ナカはGoogleマップ集中というインバウンド トレンドの二段構造

情報収集の流れを整理すると、次のような二段構造になっていることが見えてきます。

旅行者の段階別(旅マエ・旅ナカ・来店・決済)の行動と主な利用ツール一覧

旅マエの段階では、旅行者はTikTokやInstagramの保存機能を使い、気になった飲食店や観光地を「あとで行くリスト」として蓄積していきます。そして実際に日本に滞在している旅ナカの段階になると、情報収集の主戦場はほぼ完全にGoogleマップへと一本化されます。

観光庁の同調査でも、日本滞在中に役に立った旅行情報として「交通手段」が65.9%、「飲食店」が56.0%、「観光施設」が39.1%という結果が出ており、滞在中の実務的な意思決定がいかに地図アプリ上で完結しているかがわかります。

旅ナカの意思決定を支配するGoogleマップ ― インバウンド トレンドの中心にある存在

旅マエでどれだけSNSに露出できても、旅ナカの最終的な入店判断を握っているのはGoogleマップです。訪日外国人向けアプリ「Payke」を運営する株式会社Paykeが2025年に実施した多言語調査(繁体字中国語・英語・韓国語話者1,827名対象)は、この依存度の大きさを裏付けています。

訪日客の99%が使うGoogleマップ ― 数字で見るインバウンド トレンド

同調査によれば、訪日中にGoogleマップを利用したと回答した割合は99%に達しました。さらに、全体の65.90%が「Googleマップしか使っていない」と回答しており、韓国語話者に限ると初訪日層の「毎日使った」が100%、Googleマップ以外を一切使わない割合も76.59%にのぼります。

訪日外国人のGoogleマップ依存度統計(利用率99%、マップのみ利用65.9%など)

他のナビゲーションアプリ(Japan Transit PlannerやApple Mapsなど)は軒並み利用率が30%未満にとどまっており、Googleマップが訪日ナビゲーション市場をほぼ独占している構図が浮かび上がります。

飲食店探しに見るインバウンド トレンド、「食べログ」ではなくGoogleマップが主流

同じ調査では、飲食店を初めて探す際に利用したサービスとして、初訪問者・リピーターを問わず約半数がGoogleマップなどの地図アプリを挙げました。

一方、日本人には馴染み深い「食べログ」のようなグルメポータルは、訪日回数を重ねたリピーター層でようやく14.87%に達する程度で、国内向けサービスは想定ほど浸透していません。

メニューや営業時間といった詳細情報の確認でも67.10%が地図アプリを利用しており、「飲食店探し=Googleマップ」という構図はほぼ定着したと見てよさそうです。

こうした傾向を踏まえると、店舗にとっての実務課題は明確です。国内グルメサイトへの掲載を強化するよりも先に、Googleビジネスプロフィール上の情報密度と露出度を高めることが、来店転換に直結する打ち手になります。

なお同調査では、訪日経験の浅い旅行者と経験豊富なリピーター層とで、観光地の探し方にも差が見られました。初めて日本を訪れる層はSNSを頼りに情報を集める割合が33.62%と高い一方、6回以上のリピーター層ではSNSの利用率が18.03%まで下がり、代わりに旅行情報サイトの利用率が17.11%へと上昇します。

これは初訪問者のおよそ2倍にあたる水準で、訪日回数を重ねるほど、拡散されやすい一般的な情報よりも、まだ広く知られていないディープなスポットを求める傾向が強まることを示唆しています。

決済まわりのインバウンド トレンド:進むキャッシュレス化と、なお残る現場の摩擦

発見と評価のプロセスがデジタル上でスムーズに進んでも、購買行動の最終関門である「決済」で訪日客がつまずくケースは依然として少なくありません。

国内指標58.0%まで伸びた、決済まわりのインバウンド トレンド

経済産業省が2026年3月31日に公表した最新データによれば、2025年の日本国内のキャッシュレス決済比率は58.0%(決済額162.7兆円)となり、前年の52.8%から5.2ポイント上昇しました。

決済手段別の構成比と金額(クレジットカード82.7%、コード決済10.2%など)

政府は2030年までに国内指標で65%、将来的には80%への到達を目標として掲げており、日本国内の決済環境は着実に整備が進んでいます。

もっとも、この比率を単独で見て安心はできません。旅行者の母国と比べると、日本の現場の対応にはまだ差があるためです。カード決済がほぼ生活インフラ化している国から来る旅行者にとって、日本の一部店舗はいまだに「現金が前提」の場所に映ります。

インバウンド トレンドの死角、カード利用で最も困った場所は飲食店

観光庁が2026年4月に公表した令和7年度「訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査」(成田・羽田・関西・福岡・新千歳の5空港、4,110件を対象に実施)によれば、旅行中に「困ったことはなかった」と回答した割合は43.7%でした。

訪日外国人旅行中に困ったことの割合(ゴミ箱の少なさ、スタッフとの対話など)

そして、カード利用で困った場所として最も多く挙げられたのが「飲食店」(32%)でした。キャッシュレス決済比率が着実に伸びているにもかかわらず、飲食店という接客の最前線でこの摩擦が残り続けているのは象徴的です。

決済手段の不備は、単なる業務上の不便にとどまらず、入店の断念や客単価の低下といった、事業者にとって直接的な機会損失につながります。

MEO対策こそ、いま押さえるべきインバウンド トレンドへの実務的な回答

情報収集はSNS・動画に、現地での意思決定はGoogleマップに、そして決済はキャッシュレス対応の可否に集約される――ここまで見てきたトレンドを踏まえると、事業者が着手すべき打ち手はおのずと絞られてきます。

MEOで押さえるインバウンド トレンドの3要素:写真・多言語キーワード・外国語口コミ

Googleビジネスプロフィールにおける最適化の要点は大きく3つです。

第一に、看板の日本語が読めない旅行者でも店舗を特定できるよう、外観・内観・メニューの写真を充実させること。特に料理写真は、宗教上の理由による禁忌食材やアレルギーの有無が一目で判別できるアングルを意識する必要があります。

第二に、「ramen near me」のような英語での検索語句を意識し、店舗説明文に提供料理名や最寄り駅、主要観光地からの距離といったキーワードを自然な形で盛り込むこと。

第三に、外国語での口コミを継続的に集め、投稿者の母語で丁寧に返信することです。会計時に写真付きレビューの投稿を促す声かけをするだけでも、口コミの鮮度と総数は着実に積み上がっていきます。

受入表示の可視化で、インバウンド トレンドの終着点である決済まで導く

最優先で着手すべきは、店頭とデジタル空間の両方で「受入可能サイン」を可視化することです。入口やレジ横に利用可能な決済ブランド(Visa、Mastercard、JCB、銀聯、Alipay、WeChat Payなど)のステッカーを掲示するだけで、日本語を話せない旅行者に「この店は外国人客を受け入れている」という心理的な安心感を与えられます。

これをGoogleビジネスプロフィールの写真や属性設定とも連動させることで、旅マエの発見から旅ナカの入店判断、そして決済完了まで、一続きの導線として機能させることができます。

インバウンド強化をご検討の方は、AXIA Promotion & Trading Philippines Corporationへご相談ください

本記事で見てきたインバウンドのトレンドは、訪日外国人の受け入れだけでなく、日本企業が東南アジア市場、とりわけフィリピンへ進出する際のマーケティング設計にも通じる視点です。

現地の消費者がどのチャネルで情報を得て、どのように意思決定し、どう決済を完了させるのか――この一連の導線を理解することは、フィリピン市場での事業展開の成否を左右します。

フィリピンでの市場調査や販路開拓、現地パートナーとの連携にご関心のある方は、ぜひAXIA Promotion & Trading Philippines Corporationまでお問い合わせください。現地の規制環境や商習慣に精通したスタッフが、貴社の東南アジア進出を具体的にサポートいたします。

日本国内のインバウンド対応で培ったデジタル導線設計の知見は、フィリピン国内向けのマーケティング戦略を組み立てる際にも応用が可能です。まずはお気軽にご相談ください。


出典

執筆者

金田 大樹

鉄鋼専門商社や株式会社ネオキャリアのフィリピン現地法人での勤務を経て、リサーチ事業にて起業。中堅~大手の調査会社やコンサルティング会社のリサーチのプロジェクト管理を行った。その後、AXIA Marketing(アクシアマーケティング)株式会社を設立し、代表取締役に就任。フィリピン市場の成長を受けて、「AXIA Promotion & Trading Philippines Corporation」を立ち上げ。上場企業をはじめ、多くの企業の成長を「価値ある情報提供力」でサポートしている。

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