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訪日外国人を逃さない業種別集客術|宿泊・飲食・小売で成果を出す集客戦略とは

2026-09-30

ノウハウ

訪日外国人を逃さない業種別集客術|宿泊・飲食・小売で成果を出す集客戦略とは

日本政府観光局(JNTO)が2026年1月に公表した推計値によると、2025年の訪日外国人旅行者数は4,268万3,600人となり、初めて年間4,000万人の大台を突破しました。

あわせて観光庁が同年4月に確報した旅行消費額も9兆4,549億円に達し、いずれも過去最高を更新しています。前年の2024年(3,686万9,900人、8兆1,257億円)と比べると、人数で15.8%、消費額で16.4%の伸びで、コロナ禍からの回復局面を経て市場が新たな成長フェーズに入ったことがうかがえます。

ただし、この記事を書いている2026年9月時点では、状況はそう単純ではありません。年明け以降、中国からの訪日客が政治的な緊張を背景に大きく落ち込み、JNTOが9月に発表した8月推計値では2026年1〜8月の累計が前年同期比2.7%減となっています。

つまり「訪日客はどんどん増え続ける」という前提そのものを、いったん脇に置く必要があるということです。

本記事では、この最新の需給バランスを踏まえたうえで、宿泊・飲食・小売という主要3業種それぞれに有効な訪日外国人向けの集客チャネルと受入体制の整え方を、公的機関の一次情報をもとに整理します。自社の業態に合わせてどこから着手すべきか、具体的な打ち手を確認していきましょう。

訪日外国人の業種別集客ガイドを読み解く前に押さえたい市場の全体像

2025年訪日外国人旅行者数統計(4,268万人、費目別構成比、2026年1〜8月推移のデータを示したインフォグラフィック)

業種別の集客戦略を考えるうえで、まず押さえておきたいのは訪日客の消費構造そのものが変わりつつあるという事実です。かつて「爆買い」の代名詞だった買物代は、いまや宿泊費・飲食費に主役の座を譲りつつあります。

この構造変化を前提にチャネルを選ばなければ、どれだけ広告費を投じても成果につながりにくくなります。

2025年確報値に見る訪日消費9.5兆円の内訳

観光庁「インバウンド消費動向調査」の2025年確報によれば、費目別の構成比は宿泊費が36.6%(3兆4,578億円)で最大となり、買物代27.0%(2兆5,541億円)、飲食費21.9%(2兆688億円)、交通費10.0%(9,449億円)、娯楽等サービス費4.5%(4,236億円)と続きます。

2019年時点では買物代が最大シェア(34.7%)を占めていたことを踏まえると、この6年間で「泊まる」「食べる」という滞在体験そのものへの支出が着実に伸びていることが読み取れます。

国籍別に見ても、中国が消費額全体の約2割を占めて依然として最大市場である一方、1人当たり支出ではドイツをはじめとする欧州勢が39万円台に達するなど、長期滞在・高単価型の需要も顕在化しています。

2026年に入って顕在化した中国市場の急減という現実

もっとも、上で見た2025年の記録更新は「過去1年間の結果」であり、2026年の実際の店頭・フロントの体感とは温度差があります。

JNTOの発表によれば、2026年8月の訪日外客数は前年同月比9.6%減の309万8,900人で、うち中国は同59.0%減の41万8,000人にとどまりました。2026年1〜8月の累計でも前年同期比2.7%減の2,762万6,300人と、通年でプラスを続けてきた市場がここへきて足踏みしています。

背景には、日中間の外交上の緊張を受けて中国当局が自国民に訪日自粛を呼びかけたことがあり、韓国・台湾・欧米豪など他市場は堅調に推移しているものの、中国頼みの店舗ほど影響を強く受けている状況です。

小紅書(RED)でのプロモーションや銀聯(UnionPay)決済への対応など、中華圏向け施策そのものは今後も無駄にはなりませんが、2026年現在は「単一市場への依存度をどう下げるか」が、業種を問わず現実的な経営課題になっていると捉えるべきでしょう。

「量」から「質」への転換が集客チャネル選定に与える影響

このデータが示すのは、多くの訪日客を呼び込むだけでは業績に直結しにくいうえ、特定の国籍市場に偏った集客は市場変動の影響を受けやすいということです。

宿泊業であれば連泊・高単価プランへの誘導、飲食業であれば客単価の高いコース予約の獲得、小売業であればまとめ買いを促す動線設計というように、業種ごとに狙うべき消費行動が異なりますし、国籍別のポートフォリオをどう組むかという視点も欠かせません。

次章からは、この二つの視点に立って業種別の具体策を見ていきます。

業種別に見る優先課題と主要チャネルの全体像

具体的な施策に入る前に、3業種それぞれが抱える構造的な課題と、優先すべき集客チャネルの対応関係を整理しておきます。

業種別(宿泊業・飲食業・小売業)の優先課題と主要集客チャネル一覧

この対応表からもわかる通り、集客チャネルへの投資判断は、自業種が抱える構造的な課題を起点に決めるべきものです。以降の章では、業種ごとの課題とその解決策を順番に見ていきます。

宿泊業における訪日外国人集客ガイド|OTA分散と直販比率向上の両立

宿泊業の集客は、OTA(オンライン旅行代理店)への依存とその手数料負担という構造的な課題と向き合うところから始まります。加えて、ターゲットとする国籍によって主戦場となるプラットフォームが異なる点も見落とせません。

ターゲット市場ごとに異なるOTAの使い分け

欧米豪圏の旅行者はBooking.comやExpediaでの早期予約が中心である一方、中華圏市場ではTrip.comやAgoda、韓国市場ではNAVER経由の流入が目立つとされています。

単一チャネルに依存すると、狙いたい国籍層をまるごと取りこぼしかねません。自館がどの国籍層を主要ターゲットに据えるかを定めたうえで、プラットフォームの組み合わせを設計することが出発点になります。

長期滞在やファミリー層を取り込みたい施設であれば、バケーションレンタル型のプラットフォームを併用する選択肢もあります。

Googleホテル広告を起点とした直販比率の引き上げ

OTA経由の送客手数料は宿泊施設にとって小さくない負担であり、これを圧縮するには自社公式サイトの多言語・多通貨対応と、Googleビジネスプロフィールと連動する無料の予約リンクの整備が有効です。

自社予約限定でしか申し込めない体験プラン(プライベートガイドツアーや地域の伝統文化体験など)を組み込めば、OTAとの単純な価格比較を避けながら直接予約への動機づけができます。

事前チェックインでフロント摩擦を取り除く

宿泊者名簿の事前オンライン登録とスマートキーの活用は、フロント業務の効率化と顧客満足度の両立に直結します。当日の記帳作業から解放されたスタッフを、コンシェルジュ的な付加価値サービスへ再配置できる点も見逃せません。

以下は、宿泊業における集客から滞在満足度向上までの流れを整理したものです。

宿泊業におけるフェーズ別(旅前・事前・滞在時・付加価値)の主なインバウンド取り組み

飲食業における訪日外国人集客ガイド|予約導線の最適化とノーショー対策

飲食業では、訪日客の来店自体は増えている一方で、無断キャンセル(ノーショー)という別の課題が経営を圧迫しています。集客チャネルを整えるだけでは片手落ちで、予約時点での対策を同時に講じる必要があります。

Googleマップ連動予約とグルメプラットフォームの併用

滞在中の外国人客の多くがGoogleマップを頼りに店舗を探すため、Googleビジネスプロフィールに予約リンクを設定し、自店の予約台帳システムと連携させておくことが最も基本的かつ効果の高い施策です。

加えて、インバウンド向けに多言語対応するグルメ予約サイトや、TripAdvisorのような口コミプラットフォームへの登録も、和食や高単価業態への需要を取り込むうえで有効な補完策となります。

英語メニューや写真の充実度が、来店前の意思決定を大きく左右する点も意識しておきたいところです。

クレジットカード与信確保によるノーショー防止の実務

無断キャンセルを防ぐ最も確実な方法は、予約時点でクレジットカード情報を取得し、店舗のキャンセル規定(前日50%、当日100%など)に基づいて自動でキャンセル料を徴収する仕組みを導入することです。

高級店や仕込みコストの高い業態では、予約時点での全額事前決済に踏み切ることで、当日の来店率向上と、訪日客に多い「個別会計・割り勘処理」によるレジ前の滞留解消という二つの効果を同時に得られます。

観光庁の最新ガイドに基づく食の多様性への対応

観光庁は2024年、飲食店向けに「飲食店等における外国人ベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド」を新たに策定したほか、「ムスリムおもてなしガイドブック」(基礎知識編・実践編・問合せ対応用文例集)を公開しています。

いずれも、宗教上の禁忌(豚肉・アルコール等)と、個人の選択によるベジタリアン・ヴィーガン対応とを分けて、現場で使える具体的な接客フレーズや確認手順を示している点が特徴です。

すべての店舗がハラール認証などの専門認証を取得する必要はなく、まずは対応できる範囲とできない範囲を多言語メニューやモバイルオーダー画面で明示するだけでも、重大なクレームや事故のリスクは大きく下げられます。

小売業における訪日外国人集客ガイド|2026年11月の免税制度改正への備え

小売業にとって2026年は、集客施策と同じくらい重要な制度対応の年になります。消費税の免税手続きが、11月から「リファンド方式」と呼ばれる仕組みへと根本から変わるためです。

「リファンド方式」とは何か

一言で言えば、新しい「リファンド方式」は「先に払って、あとで返してもらう」方式です。

これまでは、店頭でパスポートを見せれば、その場で消費税を引いた金額で買えました(事前免税)。免税店にとっては、その場で税額を判定して価格を出す必要があり、レジでの手間も大きくなりがちでした。

これが2026年11月から、いったん通常の税込価格で購入してもらい、旅行者本人が出国時に空港・海港の税関でパスポートを提示して持出しの確認を受けたあと、消費税相当額があとから返金される方式(事後還付)に切り替わります。
店頭では通常価格で会計するだけで済むため、免税判定にともなうレジの作業自体はシンプルになります。

一方で、還付が成立するのは出国時の税関確認が済んでからなので、旅行者への案内としては「返金はすぐではなく、出国手続きの後になる」という点を伝えておく必要があります。

リファンド方式への移行で変わる店頭オペレーション

国土交通省観光庁の発表によれば、2026年11月1日購入分から、消費税免税制度は店頭で免税価格販売する現行方式から、いったん税込価格で販売し、出国時に空港・海港の税関で持出確認を受けたのちに消費税相当額を返金する「リファンド方式」へと全面的に切り替わります。

この改正にともない、一般物品と消耗品の区分、消耗品の購入上限額(現行は同一店舗で1日税抜50万円まで)、特殊包装の義務はいずれも撤廃されます。

一方で、税抜100万円以上の高額品については、シリアル番号など商品を特定する情報の送信が新たに必要になります。現行制度との併用期間は設けられていないため、POSレジシステムの改修と、免税販売手続事業者とのシステム連携は、遅くとも2026年秋までに済ませておく必要があります。

キャッシュレス決済とSNS集客を組み合わせる

店頭での決済離脱を防ぐには、国際ブランドのタッチ決済への対応に加えて、中華圏からの来店客を想定したQRコード決済への対応も引き続き欠かせません。旅前の購買意欲を喚起する情報源としては、中華圏向けの小紅書(RED)、欧米豪・東南アジア向けのInstagramリールやTikTokがそれぞれ有効とされます。

ただし前述の通り、2026年は中国からの訪日客数自体が前年を下回って推移しているため、小紅書経由の施策だけに販促予算を集中させるのはリスクが高い局面です。韓国・台湾・欧米豪向けのチャネルにも一定の予算を振り分け、特定市場の増減に業績が左右されにくい体制を作っておくことが、いまの小売業には求められます。

いずれの場合も、投稿から店舗までの動線を分断させないよう、Googleマップ上の店舗ピンへ誘導する導線とセットで設計することが重要です。

業種を超えて共通する受入環境の課題と改善策

観光庁が2026年5月に公表した最新の「訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査」(令和7年度)では、旅行中に困ったこととして「ごみ箱の少なさ」(17.2%)が最も多く挙げられ、次いで「施設等のスタッフとのコミュニケーション」(15.4%)、「観光地や地域の混雑」(12.9%)、「交通機関の利用」(11.3%)、「多言語表示の少なさ・わかりにくさ」(10.9%)が続きました。

一方で「困ったことはなかった」との回答は43.7%にとどまっており、業種を問わず改善の余地はなお大きいと言えます。

語学研修だけに頼るのではなく、多言語対応のモバイルオーダーや指差し確認シート、AI音声翻訳の活用によって、現場スタッフの負担を増やさずにコミュニケーション摩擦を減らすことができます。

ごみ箱についても、店頭で分別を明記したごみ箱を設置する、あるいは「当店でご購入いただいた容器はお引き取りします」という多言語表示を掲示するだけで、旅行者の心理的なストレスはかなり和らぎます。

旅前・旅中・旅後という3つのフェーズを貫く動線を整理すると、次のようになります。

インバウンド集客における旅前・旅中・旅後のフェーズ別の動きと施策

このように、業種ごとに主戦場となるチャネルは異なりますが、「旅前の認知」「旅中の摩擦解消」「旅後の評価循環」という基本構造は共通しています。自社がどのフェーズで機会損失を起こしているのかを見極めることが、業種別集客ガイドの考え方を自社の実務に落とし込む第一歩になります。

訪日外国人の業種別集客ガイドを実務に落とし込むために

宿泊業のOTA分散と直販強化、飲食業のノーショー対策、小売業の2026年11月制度改正への対応と、業種ごとに優先すべき打ち手は異なります。しかし共通しているのは、いずれの施策も「集客チャネルの整備」と「現場オペレーションの摩擦解消」をセットで進めなければ成果が出にくいという点です。

広告や掲載サイトへの投資だけを先行させても、現場で言語の壁や決済の不便さが残っていれば、そこで顧客体験は途切れてしまいます。

まずは自社が旅前・旅中・旅後のどのフェーズで機会損失を起こしているのかを棚卸しし、優先順位をつけて着手する。地味なようでいて、それが結局は一番の近道になります。

訪日外国人の集客はAXIA Promotion & Trading Philippines Corporationへご相談ください

本記事で見てきたように、特定の国籍市場に依存しない集客ポートフォリオづくりは、2026年のインバウンド市場において現実的な経営課題になっています。その選択肢のひとつとして押さえておきたいのが、東南アジアの中でも着実に伸びているフィリピン人旅行者です。

JNTOの発表によれば、2025年の訪日フィリピン人数は約88万5,000人、消費額も1,636億円といずれも過去最高を更新しており、他の東南アジア市場と比べても勢いがあります。フィリピンはSNS利用時間の長さで知られる市場でもあり、現地インフルエンサーの発信が旅行先選びに直結しやすいという特性を持っています。

AXIA Promotion & Trading Philippines Corporationの「インバウンドサポート」では、フィリピン現地のインフルエンサーネットワークを活かしたPRから、英語・タガログ語でのSNS運用代行、来店後のUGC(口コミ・投稿)を次の集客につなげる仕組みづくりまで一貫して支援しています。フィリピン人旅行者の受け入れ体制を強化したい宿泊・飲食・小売の事業者様は、お気軽にご相談ください。

▼ インバウンドサポートの詳細
https://axia-philippines.com/solutions/inboundsupport


出典一覧

日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2025年12月推計値)」(2026年1月21日発表)

https://www.jnto.go.jp/news/press/20260121_monthly.html

日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2026年8月推計値)」(2026年9月16日発表)

https://www.jnto.go.jp/news/press/20260916_montly.html

観光庁「旅行・観光消費動向調査/インバウンド消費動向調査 2025年(確報)」

https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/002011524.pdf

観光庁「訪日外国人旅行者の受入環境に関する調査」(令和7年度)

https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001998583.pdf

国土交通省 観光庁「2026年11月から消費税免税制度が『リファンド方式』に変わります」

https://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/page01_000001_00021.html

観光庁「多様な背景を有する訪日外国人旅行者の受入環境の充実(ムスリムおもてなしガイドブック/外国人ベジタリアン・ヴィーガン対応ガイド)」

https://www.mlit.go.jp/kankocho/seisaku_seido/kihonkeikaku/inbound_kaifuku/ukeire/kankochi/shukyo/tayo.html

AXIA Promotion & Trading Philippines Corporation「インバウンドサポート」

https://axia-philippines.com/solutions/inboundsupport

執筆者

金田 大樹

鉄鋼専門商社や株式会社ネオキャリアのフィリピン現地法人での勤務を経て、リサーチ事業にて起業。中堅~大手の調査会社やコンサルティング会社のリサーチのプロジェクト管理を行った。その後、AXIA Marketing(アクシアマーケティング)株式会社を設立し、代表取締役に就任。フィリピン市場の成長を受けて、「AXIA Promotion & Trading Philippines Corporation」を立ち上げ。上場企業をはじめ、多くの企業の成長を「価値ある情報提供力」でサポートしている。

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