2026-06-29
ノウハウ
フィリピンでの法人設立完全ガイド|現地法人・支店・駐在員事務所はどれを選ぶべきか 【2026年最新】

フィリピンへの進出を検討し始めると、最初にぶつかる壁が「結局、どの形態で会社をつくればいいのか」という問題です。現地法人なのか支店なのか、それとも駐在員事務所で様子を見るべきなのか。
インターネット上には情報が溢れていますが、古い基準のまま更新されていないページも少なくありません。実際、外国投資法の資本金緩和条件として「現地雇用50人以上」という記述が今でも散見されますが、これは2022年の改正外国投資法(共和国法第11647号)によって「15人以上」に引き下げられた後の古い情報です。
こうした制度のアップデートを正しく押さえないまま設立準備を進めると、後から計画の手直しを迫られることになります。
本記事では、2025年から2026年にかけて施行された主要な法改正を踏まえ、フィリピンでの法人設立にあたって押さえておくべき進出形態の違い、資本金要件、設立手続きの流れを整理します。
- 2025〜2026年の法改正で変わったフィリピン進出環境
- 設立前に必ず確認したい外資規制(ネガティブリスト)
- 現地法人・支店・駐在員事務所の違いを比較【フィリピン法人設立】
- 資本金20万米ドルの壁と、その引き下げ条件
- 設立完了までの流れと、現実的な期間の目安
- PEZA・BOI登録で受けられる税制優遇とCREATE MORE法
- フィリピン法人設立、形態選びのチェックポイント
- フィリピンでの法人設立は、AXIA Promotion & Trading Philippines Corporationにご相談ください
- 「現地法人として実務を回す」体制
- 法人設立から税制インセンティブ活用まで一気通貫
- 現地精通スタッフ×日本人窓口の安心体制
- 設立後の事業立ち上げまで伴走
2025〜2026年の法改正で変わったフィリピン進出環境
フィリピン中央銀行(BSP)の発表によれば、2025年の外国直接投資(FDI)純流入額は77億9,100万ドルとなり、前年から17.1%減少して過去5年間で最も低い水準にとどまりました(JETRO「2025年のFDI純流入額は約78億ドル、過去5年で最低水準」、2026年3月24日)。
世界的な投資マインドの慎重化が背景にありますが、フィリピン政府はこの状況に手をこまねいているわけではありません。むしろ逆風を制度改革で打ち返そうとしているのが、2025年後半から2026年にかけての動きです。
土地の長期リースを認める改正投資家リース法(共和国法第12252号)、付加価値税の取り扱いを明確化したCREATE MORE法(共和国法第12066号)、そして2026年5月に発効した第13次外国投資ネガティブリストと、進出企業にとって有利な方向への法整備が相次いで実現しました。
制度が整いつつある今だからこそ、進出形態の選び方を正確に理解しておく価値があります。
設立前に必ず確認したい外資規制(ネガティブリスト)
進出形態や資本金を検討する前に、もう一つ確認しておくべきことがあります。自社の事業がフィリピンの外国投資ネガティブリスト(FINL)の規制対象に入っていないかどうかです。
フィリピンでは1991年外国投資法に基づき、外資の出資比率が制限される業種が定期的に見直されており、2026年5月2日には大統領令第113号に基づく第13次外国投資ネガティブリストが正式に発効しました(カメリアコンサルティング「フィリピン『第13次外国投資ネガティブリスト』の施行と実務への影響」)。
この改定では、払込資本金2,500万ペソ未満の小規模小売業について、外資出資比率40%以下であれば参入可能であることが明記され、現地パートナーとの合弁を前提とした小売分野への投資ルートが整理されました。
また、改正公共サービス法に基づき電気通信業が外資100%参入可能な業種として明文化された一方、外国投資家の母国がフィリピン企業に同等の市場アクセスを提供していない場合は出資上限が50%に制限される相互主義条項も残っています。
太陽光や風力といった再生可能エネルギー開発についても、大統領との技術・財務支援合意(FTAA)に基づく場合は外資100%が認められるようになりましたが、河川や湖沼からの直接取水を伴う水利権関連の活動は依然として外資40%以下に制限されたままです。

これらの規制は業種ごとに細かく異なるため、自社の事業がどの分類に当たるかを最初に確認しないまま資本金計画や進出形態を固めてしまうと、後から出資比率の見直しを迫られることになります。
なお、外資40%以下の制限を受ける業種では「アンチダミー法」が適用され、出資比率を超える人数の外国籍役員を置くことや、株主間合意によって実質的な経営支配権を外国側に集中させることが禁止されている点も押さえておく必要があります。
現地法人・支店・駐在員事務所の違いを比較【フィリピン法人設立】
フィリピンで事業を行う場合、選択肢は大きく3つに分かれます。現地法人(子会社)、支店(ブランチオフィス)、そして駐在員事務所です。この3つは見た目以上に法的な性格が異なり、選択を誤ると後々の事業展開に響きます。
最大の分岐点は「現地で利益を生む事業を行うかどうか」と「親会社の責任をどこまで及ぼしたいか」の2点です。駐在員事務所は市場調査や本社との連絡業務に特化した拠点で、現地での売上計上ができません。立ち上げのハードルは低い一方、本格的な事業展開には使えない形態だと理解しておく必要があります。
一方、現地法人と支店はどちらも営業活動が可能ですが、現地法人は日本の親会社とは別個の法人格を持つため、フィリピンでの債務リスクは現地法人の資産範囲に限定されます。支店は本社と法的に同一人格であるため、現地で生じた責任は日本の本社に直接及びます。この違いは、事業リスクの大きい製造業や、現地での訴訟リスクが懸念される業種では特に重要な判断材料になります。
どの形態が自社に合うかは、次の2つの問いに答えていくことで絞り込めます。


資本金20万米ドルの壁と、その引き下げ条件
国内市場向けに現地法人を設立する場合、外資比率が40%を超えると原則として20万米ドルの最低払込資本金が必要になります。これは決して小さな金額ではないため、多くの企業がこの資本金要件をどう下げられるかを最初に検討します。
外国投資法上、最低資本金は次のいずれかの条件を満たせば10万米ドルまで引き下げられます。科学技術省(DOST)が認定する先進技術を活用していること、革新的新興企業法に基づくスタートアップまたはその支援機関であること、そしてフィリピン人を新規に直接雇用する人数が一定数を満たすことです。
ここで実務上もっとも誤解されやすいのが、この直接雇用の人数基準です。旧法では50人以上の雇用が条件でしたが、2022年の改正外国投資法(RA 11647)によって15人以上へと緩和されています。
古い資料やコラムにはいまだ「50人以上」と書かれているケースが多く、この点を知らずに計画を立てると、必要以上に保守的な事業規模を想定してしまうおそれがあります。
なお、売上の60%以上を輸出に向ける輸出型企業であれば、この最低資本金要件自体が実質的に撤廃され、数十万ペソ程度の資本でも設立が可能です(JETRO「フィリピン 外国企業の会社設立手続・必要書類」)。自社の事業が内需型か輸出型かによって、資本計画はまったく違う姿になります。

設立完了までの流れと、現実的な期間の目安
フィリピンの会社設立は、証券取引委員会(SEC)への法人登記、地方自治体(LGU)での営業許可、内国歳入庁(BIR)での税務登録という3つの関門を、すべて順番にクリアしていく必要があります。
SECで法人格を得たら終わりではなく、バランガイ(最小行政区)のクリアランス取得、市長許可証(Mayor’s Permit)の取得、そしてBIRでの納税者登録と公式領収書の印刷許可(Authority to Print)取得まで進まないと、正式な売上計上すらできません。

SEC登記自体は書類に不備がなければ2週間程度で完了しますが、そこから営業許可、税務登録までを含めた「商取引をフル稼働できる」状態に至るまでには、現地の行政対応の速度や日本側でのアポスティーユ認証取得の時間も含めて、6〜8ヶ月程度を見込んでおくのが実務的な標準とされています(ESNET「フィリピン法人設立(会社設立)の流れと手続き」)。
現地代行会社を活用して書類不備なく進めた最短ケースでは1〜3ヶ月という例もありますが、これはかなり順調に進んだ場合の数字であり、最初からこれを前提にスケジュールを組むのはリスクが高いといえます。
特にBIR登録はSEC登記完了から30日以内という期限が定められており、ここを過ぎるとペナルティが課されるため、LGUでの許可取得作業と並行して進める実務調整が欠かせません。
各フェーズの所要期間を積み上げると、おおよそ次のようなスケジュール感になります。

PEZA・BOI登録で受けられる税制優遇とCREATE MORE法
設立形態が決まったら、次に検討すべきはインセンティブの活用です。2024年11月に発効したCREATE MORE法(共和国法第12066号)により、登録事業法人が現地で調達する物品・サービスのうち事業に直接帰属するものについては、輸入VATの免除や現地購買時のゼロVATが適用されやすくなりました。
以前は「製造活動に直接かつ排他的に必要なもの」という狭い解釈がBIRの通達で示され、実務上の摩擦を生んでいましたが、CREATE MORE法はこの解釈を緩和しています(JETRO「企業復興税優遇法の改正法(CREATE MORE法)が成立」)。所得税免除などの優遇措置の利用可能期間も、従来の最大17年間から最大27年間へと延長されました。
こうした優遇を受けるには、フィリピン経済特区庁(PEZA)またはフィリピン投資委員会(BOI)への登録が必要です。輸出型の製造業やITパーク内でのBPO・システム開発を行う企業はPEZA登録が一般的な選択肢になります。
PEZAが管理する特別経済特区や指定ITビルへの入居が条件になりますが、税制優遇に加えて、外国人駐在員向けの特別ビザ取得が容易になるという運用面のメリットもあります(PEZA公式サイト)。
一方、特定の工業団地に縛られず全国どこでも事業を行いたい場合や、政府が定める戦略的優先投資計画(SIPP)に合致する産業に該当する場合はBOI登録が向いています。2026年5月には2026年版SIPPが新たに承認され、先端技術分野への投資を後押しする体制が強化されました(BOI公式サイト)。
フィリピン法人設立、形態選びのチェックポイント
フィリピンでの法人設立は、単に「どの形態が手続き的に楽か」で決めるべきものではありません。現地での売上計上を見込むのか、まずは市場調査にとどめるのか、将来的に現地法人としての資産形成や融資調達まで見据えるのか。事業計画の出口に応じて、最適な形態とインセンティブ機関は変わってきます。
また、配当や支店利益の日本本社への送金時には、日比租税条約を適用することで源泉税を15%から10%へ軽減できますが、この適用には事前の租税条約relief申請(TTRA)など所定の手続きが必要です。手続きを怠ると軽減税率が一切認められないケースもあるため、設立段階から逆算して準備を進めることが重要です(カメリアコンサルティング「フィリピンにおける租税条約適用(TTRA)の概要」)。
制度は年々アップデートされており、数年前の情報のまま判断すると不利な選択をしてしまうリスクがあります。最新の法改正を踏まえた進出戦略の設計については、フィリピン進出支援の実務経験を持つ専門家への相談をおすすめします。
フィリピンでの法人設立は、AXIA Promotion & Trading Philippines Corporationにご相談ください
本記事で解説してきたように、フィリピンでの法人設立は「どの形態を選ぶか」だけでなく、資本金の引き下げ条件、外資規制(ネガティブリスト)の業種判定、SEC・LGU・BIRをまたぐ登記実務、そしてPEZA・BOIへの登録によるインセンティブ活用まで、検討すべき論点が多岐にわたります。制度を正しく理解していても、実際に現地の窓口で書類を動かせるかどうかはまったく別の問題です。
フィリピン進出を本気で検討するなら、現地の実務を知り尽くしたパートナーと早い段階から動くことが、最短ルートへの近道です。AXIA Promotion & Trading Philippines Corporationは、フィリピン現地法人として、法人設立の検討段階から登記実務、事業立ち上げまで一気通貫で伴走します。
「現地法人として実務を回す」体制
AXIA Promotion & Trading Philippines Corporationはフィリピン現地法人として営業ライセンスを保有しており、代理店を介さずに直接、現地の設立実務を動かせる体制を持っています。進出形態の選定・SEC申請・ネガティブリスト上の出資比率確認といった手続きを、現地スタッフが直接担当します。日本本社からの遠隔指示だけでは難しい、現地当局とのリアルタイムなやりとりや書類差し戻し時の即応対応も、私たちが現場で対処します。
法人設立から税制インセンティブ活用まで一気通貫
事業内容に応じた最適な進出形態の選定(現地法人・支店・駐在員事務所)、SEC登録・PEZA/BOI登録の代行、CREATE MORE法に基づくインセンティブの活用設計まで、フィリピン進出に必要な手続きをワンストップでカバーします。「どの順序で何を動かせば設立までの期間とコストを最も抑えられるか」という計画段階から伴走します。
現地精通スタッフ×日本人窓口の安心体制
フィリピンの制度動向に精通したローカルスタッフが申請実務を担当しつつ、お客様とのコミュニケーション窓口は日本人スタッフが日本語で対応します。最新の法改正の解釈、申請の進捗状況、LGU(地方自治体)レベルの実務上の注意点まで、日本語でクリアにご報告します。
設立後の事業立ち上げまで伴走
法人設立はゴールではなく、フィリピン事業のスタートラインです。AXIAは法人設立後も、市場調査・テストマーケティング・営業代行・販売代理店開拓・EC/SNS運用まで、事業が軌道に乗るフェーズまで一貫してサポートします。フィリピンでの法人設立を検討されている方は、まずはAXIA Promotion & Trading Philippines Corporationへお問い合わせください。
参考・出典
JETRO「2025年のFDI純流入額は約78億ドル、過去5年で最低水準(フィリピン)」(2026年3月24日)
https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/03/f358e5b03252b254.htmlJETRO「外資系企業による内国会社、支店、駐在員事務所の設立手続」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/ph/invest_09/pdfs/ph12A010_kaisyasetsuritsu.pdfJETRO「外資に関する規制|フィリピン」
https://www.jetro.go.jp/world/asia/ph/invest_02.htmlJETRO「企業復興税優遇法の改正法(CREATE MORE法)が成立(フィリピン)」
https://www.jetro.go.jp/biznews/2024/11/4df8f3cce0ac5025.htmlJETRO「フィリピン 外国企業の会社設立手続・必要書類」
https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/country/ph/invest_09/pdfs/ph12A010_kaisyasetsuritsu.pdf
(※2と同一資料)カメリアコンサルティング「フィリピン『第13次外国投資ネガティブリスト』の施行と実務への影響」
https://camellia-consulting-inc.com/blog/incorporation5/カメリアコンサルティング「フィリピンにおける租税条約適用(TTRA)の概要」
https://camellia-consulting-inc.com/blog/tax2/KPMG Japan「フィリピン主要進出形態(現地子会社・支店・駐在員事務所・RHQ・ROHQ)の包括比較」
https://assets.kpmg.com/content/dam/kpmgsites/jp/pdf/2022/jp-philippines-2021-2022.pdfESNET「フィリピン法人設立(会社設立)の流れと手続き」
https://www.esnet.co.jp/ph/news/philippines-business-setup/registration-processPEZA(フィリピン経済特区庁)公式サイト
https://www.peza.gov.ph/BOI(フィリピン投資委員会)公式サイト
https://boi.gov.ph/

執筆者
金田 大樹
鉄鋼専門商社や株式会社ネオキャリアのフィリピン現地法人での勤務を経て、リサーチ事業にて起業。中堅~大手の調査会社やコンサルティング会社のリサーチのプロジェクト管理を行った。その後、AXIA Marketing(アクシアマーケティング)株式会社を設立し、代表取締役に就任。フィリピン市場の成長を受けて、「AXIA Promotion & Trading Philippines Corporation」を立ち上げ。上場企業をはじめ、多くの企業の成長を「価値ある情報提供力」でサポートしている。
Latest
Column
Latest Column
新着記事
2026-06-29
【2026年最新】フィリピンの補助金・公的支援制度を徹底解説|BOI・PEZA・CREATE MOREで活用できる優遇税制とJICA Bizまで
フィリピン進出を検討する日本企業からよく聞かれる質問のひとつが、「フィリピンには補助金や公的支援制度...
ノウハウ
2026-06-29
フィリピン進出の失敗・撤退の実態とは|原因とリスク回避のポイントを徹底解説
フィリピンは日系企業の進出先として注目度を高めていますが、その裏側で『フィリピン進出の失敗』や『撤退...
ノウハウ
2026-06-29
フィリピン進出企業の事例で読み解く業種別動向|日系企業リストとPEZA活用の境目
トヨタ自動車のフィリピン現地法人は、1994年に新車販売台数・乗用車・商用車の3部門で年間トップに立...
ノウハウ



