2026-05-28
ノウハウ
訪日フィリピン人インバウンドガイド2026

「フィリピン人旅行者の取り込み方が分からない」
「英語圏向けの施策はやっているが、なぜかフィリピン人客が増えない」
「2026年は日比国交70周年と聞いたが、自社の集客にどう活かせるのか」
近年、こうした相談が日本の自治体・宿泊施設・小売事業者から急増しています。
訪日外国人市場のなかで、フィリピンは 2024〜2026年にかけて最も力強い構造的成長 を見せている国であり、しかも他のASEAN市場とは明確に異なる「英語堪能・SNSネイティブ・FIT中心・キリスト教文化圏」という特性を持っています。
本記事では、JNTO(日本政府観光局)や観光庁の最新統計をもとに、フィリピンインバウンド市場の現状、消費行動の特性、ASEAN他国との違い、そして日本側事業者が取るべき具体的な施策まで、体系的に解説します。
- 1. なぜ今、フィリピンが訪日インバウンドの「最重要市場」なのか
- 人口動態の追い風
- 英語が公用語であることの大きさ
- 対日親近感の歴史的厚み
- 2. 数字で見る訪日フィリピン人市場の急成長
- 一人当たり消費の高度化
- 3. ASEAN各国との比較で見えるフィリピン市場の独自性
- 2025年ASEAN主要6か国の訪日客数比較
- 4. フィリピン人訪日客の消費行動5つの特徴
- ストーリー性の重視という質的変化
- シーズナル・リピーターの形成
- 5. 日比国交正常化70周年がもたらすチャンス
- 政府主導の追い風
- 航空ネットワークの拡充
- 円安ペソ高という経済的追い風
- 6. 日本側事業者が取り組むべき5つの施策
- 英語SNS発信の重要性
- UGC(ユーザー生成コンテンツ)の連鎖
- 7. インフルエンサーマーケティング活用の実務
- 投稿設計の鉄則
- 8. 成功パターンと失敗パターンの分岐点
- 9. 受け入れ体制整備の優先順位
- 10. まとめ:「フィリピン・モメンタム」を逃さないために
- 11. AXIA Promotion & Trading Philippines Corporationのインバウンドサポートサービスについて
- 現地ネットワークを活かしたインフルエンサー施策
- 英語・タガログ語SNS運用代行
- 来店を次の集客につなげる仕組み設計
- 料金とサービス内容
1. なぜ今、フィリピンが訪日インバウンドの「最重要市場」なのか
訪日外国人市場における国別シェアといえば、長年「中国・韓国・台湾」の東アジア3か国が中心でした。
しかし、2024年以降、ASEAN市場の重要性が急激に増しています。なかでもフィリピンは、人口動態・経済成長・対日親近感の3要素がそろう、いわば 「構造的に成長が止まらない市場」 として位置づけられるようになりました。
人口動態の追い風
フィリピンは人口約1.1億人、平均年齢約25歳。ASEAN屈指の若さを持ち、生産年齢人口が拡大を続けています。経済成長に伴って中間層が厚みを増しており、かつては富裕層の特権だった海外旅行が、広範な中間層の現実的な選択肢へ と変わっています。
英語が公用語であることの大きさ
フィリピンは英語が公用語として広く使われており、訪日時に日本国内での情報収集・移動・予約に言語的な障壁がほぼありません。これは、東アジア・東南アジア市場のなかでも極めて稀な特徴で、結果として 個人旅行(FIT)化が他のASEAN諸国より早く進んでいます。
対日親近感の歴史的厚み
2026年は日本とフィリピンの国交正常化70周年。1956年の国交回復から続く外交的信頼関係に加え、無印良品・ユニクロ・丸亀製麺など日本ブランドの定着、アニメ・J-POPの文化的浸透が、世代を超えた対日好意度を形成しています。
2. 数字で見る訪日フィリピン人市場の急成長
JNTO(日本政府観光局)の統計によると、訪日フィリピン人数は以下のように推移しています。

フィリピンは2024年時点ですでに2019年比で33.6%増を達成しており、これは主要訪日市場のなかでも極めて高い成長率です。 タイのように2019年水準を回復できていない国がある一方で、フィリピンは「コロナ禍前を上回って成長を続ける」フェーズに入っています。
一人当たり消費の高度化
数の伸びだけでなく、消費の質も変化しています。観光庁「訪日外国人消費動向調査」によれば、2025年の訪日フィリピン人による旅行消費総額は1,636億円に達し、過去最高を記録。一人当たり旅行支出は18万7,760円 にまで上昇しました。
注目すべきはリピーター率で、2025年4〜6月期の調査ではリピーター率約63%。これは「初めて日本を訪れる層」が中心だった2010年代とは明確に異なるフェーズに入ったことを示しています。
3. ASEAN各国との比較で見えるフィリピン市場の独自性
フィリピン市場の本当の価値を理解するには、他のASEAN主要国との比較が不可欠です。
2025年ASEAN主要6か国の訪日客数比較


ここから読み取れるフィリピン市場の決定的な独自性は、「ハラール対応や言語通訳といった特別な準備をしなくても、英語SNS運用と現地インフルエンサー施策だけで、市場に直接届きやすい」 という点です。
インドネシアやマレーシアと違い、食事の宗教的制約が少なく、ラーメン・和牛・海鮮といった日本食を制約なく楽しめる層が大多数であることも、受け入れ側のハードルを大きく下げています。
4. フィリピン人訪日客の消費行動5つの特徴
JNTOおよび観光庁の各種調査をもとに、フィリピン人旅行者の消費行動を整理すると、次の5つの特徴が浮かび上がります。

ストーリー性の重視という質的変化
特に2025年から2026年にかけて顕著なのが、「単に有名観光地で写真を撮る」段階から、「日本のローカルなスーパーで買い物する」「地元の居酒屋で店主と話す」「着物を着て路地を散歩する」 といった、没入型(イマーシブ)コンテンツへの嗜好シフトです。
これはフィリピンの若年層が日常的に英語で日本のコンテンツに触れているため、観光ガイドブック的な情報をすでに超えており、「現地の人しか知らない体験」 に高い価値を見出すフェーズに入っているからです。
シーズナル・リピーターの形成
JNTOの分析によれば、フィリピン人旅行者は「日本の四季」に対して極めて高い感応度を持っています。温暖な自国では決して体験できない雪・桜・紅葉といった季節の風物詩を求めて、特定の季節に繰り返し訪日する「シーズナル・リピーター」 が形成されつつあります。
北海道のパウダースノー、東北の紅葉、九州の温泉、瀬戸内の芸術祭など、地方コンテンツへの関心は急速に高まっており、ゴールデンルート(東京・大阪・京都)だけでは満足しない層が市場の中心になりつつあります。
5. 日比国交正常化70周年がもたらすチャンス
2026年は、日本とフィリピンの国交正常化70周年にあたります。「未来を共に織りなす:平和、繁栄、可能性」 をテーマに、両国で文化・観光イベントが年間を通じて展開されています。
政府主導の追い風
JNTOマニラ事務所、フィリピン観光省(DOT)、JETROマニラ事務所、フィリピン日本国大使館などが連携し、観光・文化・ビジネスの各領域で記念キャンペーンを実施。観光分野では特に、「日本の地方への分散誘客」と「高付加価値旅行の促進」 が重点項目に掲げられています。
航空ネットワークの拡充
セブ・パシフィック航空やフィリピン航空が、成田・関西・中部に加えて新千歳・福岡・那覇への直行便を拡充。特にセブ・パシフィック航空は創業30周年を記念して大規模な販促キャンペーンを展開し、若年層・家族連れの訪日を後押ししています。
ただし、2026年3月には世界的な燃油価格高騰を受けて一部路線で減便も発表されており、地方誘客戦略における航空座席供給の安定性が今後の鍵 となります。
円安ペソ高という経済的追い風
2024〜2026年を通じて、円安ペソ高の為替環境が継続しています。フィリピン人旅行者にとって、日本での食事・宿泊・ショッピングは、マニラやセブの高級施設と比較しても「割安」に感じられる状態が続いています。これが滞在日数の長期化と、より高ランクのホテルへの宿泊シフトを招いた主要因です。
6. 日本側事業者が取り組むべき5つの施策
フィリピン人インバウンド市場を取り込むために、日本側の自治体・施設・小売事業者が取るべき施策は、以下の5領域に集約されます。

英語SNS発信の重要性
フィリピン人旅行者の旅行計画は、「Googleマップでの場所検索」よりも「Instagram・TikTokのハッシュタグ検索」が先行する ケースが大多数です。日本側施設が公式SNSで英語コンテンツを発信していない場合、そもそも検討候補にすら入りません。
英語に加えて、タガログ語のキャプションを併用するとエンゲージメント率が大幅に上がるという調査結果もあり、現地在住スタッフによる発信設計が決定的に重要です。
UGC(ユーザー生成コンテンツ)の連鎖
フィリピン市場最大の特徴は、「来店した旅行者の投稿が、次のフィリピン人旅行者を呼び込む連鎖」 が極めて強く働く点です。一度のSNS投稿が、彼らのコミュニティ内で爆発的に拡散することは珍しくありません。
このため、来店時に「投稿したくなる仕掛け」(フォトスポット、英語のハッシュタグ表示、投稿特典など)を設計するかどうかが、長期的な集客の累積効果を大きく左右します。
7. インフルエンサーマーケティング活用の実務
フィリピンインバウンド施策のなかでも、ROIが最も高いのが 現地インフルエンサーとのタイアップ です。

投稿設計の鉄則
「来日前」「滞在中」「帰国後」の3フェーズで投稿を設計するのが効果的です。来日前の 「行きたい」を生み出す投稿、滞在中の リアルタイム投稿、帰国後の まとめ動画・口コミ投稿 の3点セットで、フォロワーの旅行意思決定プロセスのすべてに介入できます。
実際に、フィリピン人旅行インフルエンサー(フォロワー15万人)を起用した日本のある観光施設の事例では、来日前投稿に「次の日本旅行で絶対行く」系のコメントが殺到し、投稿翌週から問い合わせが急増、3か月後の外国人来店数が施策前比120%増 を達成しました。
8. 成功パターンと失敗パターンの分岐点
フィリピンインバウンド施策で成果を上げている事業者と、苦戦している事業者の違いは、以下の対比に集約されます。

最大の分岐点は、「来店をゴールにするのか、来店をスタートにするのか」 という設計思想の違いです。来店した旅行者が満足してSNS投稿し、その投稿が次のフィリピン人旅行者を呼び込む——この循環を意識的に設計できているかどうかが、長期的な集客効率を決定づけます。
9. 受け入れ体制整備の優先順位
「何から始めればいいかわからない」という事業者のために、優先順位を整理した実装ロードマップを示します。

重要なのは「全部を一度にやろうとしないこと」 です。基盤整備が不十分なままインフルエンサー施策に踏み込むと、来店後の体験品質が追いつかず、口コミがネガティブに振れてしまうリスクがあります。逆に基盤整備だけ完璧でも、発信しなければ存在を知ってもらえません。3〜6か月のスパンで段階的に積み上げていくのが最も効率的です。
10. まとめ:「フィリピン・モメンタム」を逃さないために
訪日フィリピン人市場は、2024年の劇的な回復、2025年の着実な成長、そして2026年の歴史的な躍進という、極めてポジティブな軌跡を描いています。ASEAN諸国全体と比較しても、フィリピンの成長は一時的なブームではなく、人口動態、経済成長、そして両国の深い外交的信頼に支えられた「構造的な必然」 です。
特に2026年は日比国交70周年という、歴史上もっとも追い風の強いタイミングです。この「フィリピン・モメンタム」を的確に捉え、英語SNS発信・インフルエンサー施策・UGC促進・受け入れ環境整備の4点を並行して進めることで、自治体・施設・小売事業者は今後5〜10年にわたる安定的な集客基盤を築くことができます。
「来店をゴールにする発想」から「来店をスタートにする発想」へ。 これこそが、フィリピンインバウンド市場で勝つための最大のマインドセットの転換です。
11. AXIA Promotion & Trading Philippines Corporationのインバウンドサポートサービスについて
本記事で解説したフィリピンインバウンド施策を、AXIA Promotion & Trading Philippines Corporationでは現地拠点ならではの強みを活かして一気通貫でご支援しています。
現地ネットワークを活かしたインフルエンサー施策
フィリピン現地で構築してきた人脈を活かし、フォロワー規模・ジャンル・ターゲット層に合わせて最適なインフルエンサー・KOCを選定します。「リアルな体験談」が信頼を生み、旅行前の意思決定に強く影響します。フォロワー数だけに頼らず、エンゲージメント率や過去の訪日実績まで踏まえた質の高いマッチングを行います。
英語・タガログ語SNS運用代行
英語・タガログ語に対応したコンテンツを、現地目線で企画・制作・配信します。「外国人が本当に知りたい情報」を 現地在住スタッフが設計 することで、旅行前の検索から訪日後の口コミまで一貫したユーザー体験を構築します。
来店を次の集客につなげる仕組み設計
来店後に旅行者が口コミ・UGCを投稿し、それが次の旅行者を呼び込む連鎖を設計します。インフルエンサー投稿へのリポスト・コメント対応から、来日後フォロワー化まで、来店で終わらない関係構築 がAXIAの強みです。
料金とサービス内容
月額30万円〜のサポート費用で、インフルエンサー選定・交渉・契約代行、英語/タガログ語SNS運用代行、コンテンツ制作・ハッシュタグ最適化、受入れ体制整備アドバイス、KPI設計・月次レポート、専任担当者によるチャットサポートまで一気通貫でご提供します。

「フィリピン人旅行者の取り込み方が分からない」「英語でのSNS発信のリソースがない」「現地インフルエンサーへのアプローチ方法が分からない」といったお悩みからでも、お気軽にご相談ください。フィリピンインバウンド施策のスモールスタートから本格展開まで、お客様のフェーズに合わせた最適な設計をご提案します。
参考・出典
JNTO(日本政府観光局)訪日外客統計
https://www.jnto.go.jp/statistics/data/visitors-statistics/
観光庁 訪日外国人消費動向調査
https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shouhidoukouchousa.html
観光庁 観光白書
https://www.mlit.go.jp/statistics/file000008.html
JETRO フィリピンの貿易投資年報
https://www.jetro.go.jp/world/asia/ph/gtir/
JETROマニラ事務所
https://www.jetro.go.jp/jetro/overseas/ph_manila.html
フィリピン観光省(DOT)
https://beta.tourism.gov.ph
フィリピン統計庁(PSA)
https://psa.gov.ph/statistics/national-accounts
在フィリピン日本国大使館
https://www.ph.emb-japan.go.jp/itpr_ja/index.html

執筆者
金田 大樹
鉄鋼専門商社や株式会社ネオキャリアのフィリピン現地法人での勤務を経て、リサーチ事業にて起業。中堅~大手の調査会社やコンサルティング会社のリサーチのプロジェクト管理を行った。その後、AXIA Marketing(アクシアマーケティング)株式会社を設立し、代表取締役に就任。フィリピン市場の成長を受けて、「AXIA Promotion & Trading Philippines Corporation」を立ち上げ。上場企業をはじめ、多くの企業の成長を「価値ある情報提供力」でサポートしている。
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